アトピーのかゆみを抑える仕組みの一つを解明!佐賀大学より

アトピー性皮膚炎といえば、子どもに多いアレルギー疾患の一つです。アトピー性皮膚炎に限らず、食物アレルギーも子どもに多いですね。また大人になってから発症する人も多いです。
アトピー性皮膚炎に関しては、さまざまなクスリが処方されますし、日進月歩でどんどん良い薬が開発されています。しかしどれも対処療法にすぎません
かゆみや肌荒れを飲み薬や塗り薬でなんとか抑えるやり方であり、根本的にかゆみの原因を抑えるものではないのは皆さんご存じの通り。
「早く良い薬が開発されないかな」と思っている保護者は大変多いです。乳幼児は自分で自己管理することが難しいですからね。
そんな中、佐賀大学の研究グループが脚光を浴びています。

かゆみがおきる仕組みのひとつを解明!佐賀大学の研究グループ

佐賀大学でアレルギー学が専門の出原賢治教授らの研究グループが、「アトピー性皮膚炎でかゆみが生じる仕組みの一つを解明した」と発表しました。さらに症状を改善する化合物も発見したとのことです。
さらにうれしいことに、日本医療機器開発機構と共に連携し、新薬の開発に取り組むことも発表されました。
この論文は、アメリカの科学誌 セル・リポート のオンライン版に掲載されたとのことです。

そもそもアトピー性皮膚炎って?

おもな症状はかゆみを伴う湿疹。かゆいのでかいてしまうと、さらに皮膚の保護機能が低下してしまい症状がどんどん悪化してしまいます。
小児や若者に多い病気であり、日本皮膚科学会のガイドラインによると、20歳以下の約10%がり患しているとも言われています。

脳にかゆみを伝えるタンパク質の結合を阻止する働き「CP4715」

同グループは、マウスを使った実験で、皮膚組織に含まれるタンパク質「ペリオスチン」が、知覚神経の細胞の表面にあるタンパク質「インテグリン」と結合して脳にかゆみを伝える仕組みを解明しました。
また、アトピー性皮膚炎とは異なる用途を目的として、製薬会社が開発を進めていた「CP4715」という低分子化合物によって、ペリオスチンとインテグリンの結合が阻害され、症状が抑えられることも確認できたそうです。

これでアトピーは全て解決というわけではないけど、大きな一歩です!

全てのアトピー性皮膚炎が同じ仕組みで発症するわけではありません。ですが患者にとっては大きな一歩となるでしょう。
出原教授は

「かゆみを抑えることができれば、ひっかくことで炎症が悪化してしまう悪循環を断つことができる。そうすれば湿疹自体も改善される可能性がある」

と語っています。
また、多くの種類の薬を用意して治療の選択肢を増やすことがとにかく重要、とも語っています。
乳幼児は「ひっかいてはダメ」といってもわかりませんし、分かったとしても大人のようにすぐに薬を塗ったりができません。
アトピーの治療薬の開発は、子どもの生活の質を上げるだけではなく、保護者の負担も大きく減らしてくれるでしょう。期待せずにはいられませんね!

2023年1月15日(日)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。