気になる赤ちゃんの「向き癖」、最近はヘルメット治療も

赤ちゃんの頭はとても柔らかく、時間が経つにつれてだんだんと形作られていきます。
ただ、睡眠中の向き癖によっては頭の形が斜めになってしまうこともあります。
睡眠中の向き癖を防ぐには親はどう対処したらいいのでしょうか。

米国でのうつ伏せ寝を防ぐ取り組み→あお向け寝推奨→斜頭症が増えてしまった・・・

1992年、米国の小児科学会がうつ伏せ寝で起こるSIDSを防ぐために、赤ちゃんは仰向けで寝かせることを推奨しました。その結果、SIDSは40%も減少。しかし頭の形が左右非対称になる斜頭症が増えてしまったとのことです。
日本では元々仰向けに寝かせることが多かった歴史がありますが、米国での斜頭症が話題となったため、相談件数が増えたそうです。

一般的に9歳ごろまでの神経の発達には頭の形による影響はないという研究結果があります。しかし、斜頭症によって耳の位置がずれ、メガネが上手くかけられずに肩こりや頭痛の原因になったりすることがあるそうです。
また、顔が非対称になり、顎関節症になるケースもあるそうです。

日本では「専門の医療機関を紹介してくれない」と親は不満だったが・・・

自治医科大学さいたま医療センター、周産期母子医療センター長の細野医師は、基本的には自然と良くなる、と話をするが、どの程度改善するかは生活習慣あや重症度によって異なるため、必ずしも親の理想通りにならないこともあるそう。
保護者は「専門の医療機関を紹介してもらえない」と不満を持っていたそうです。

2000年代後半から「ヘルメット治療」ができるようになっています!

自由診療かつオーダーメイドのため、数十万円と高額になってしまいますが、ヘルメットを使って頭の形をよくする治療が登場しました。
生後4か月~半年までに治療を始めるのが理想的だそうです。

自治医科大さいたま医療センターは2021年秋に「頭のかたち外来」を開設しました。1年間で328人が受診し、約半数の赤ちゃんがヘルメットを作ったそうです。
左右の対称率が85%未満の重度の斜頭症の子どもに半年間ヘルメットを着けてもらったところ、対称率が10%改善したそうです。
一方で、頭蓋骨が早くくっつく病気の可能性もあるとこと。その場合は手術が必要になるため、専門医に相談してほしいとのことです。

向き癖を作らないために親ができること

保護者が家でできる取り組みを紹介します。

①授乳ごとに頭の向きを変えて寝かせる。
右-正面-左、など

②大人のおなかの上でうつ伏せになる
「タミータイム」を取り入れる

 

※タミータイムとは?
「うつ伏せ寝の練習」のことです。
赤ちゃんが起きている時に、1日2~3回、1回3~5分から始めます。
赤ちゃんを腹ばいの姿勢にすることは身体の発達を促すうえで効果がありますが、無理は禁物。必ず保護者の監督のもとで行いましょう。

2023年2月25日(土)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。