歯磨きする子は便秘になりにくいって本当?

毎日の歯みがき習慣が、子どもの便秘予防にもつながる可能性があることが分かりました。
この研究成果は、東北大学と東北福祉大学の共同チームによって、約8万組の母子データを分析して導き出され、科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。
調査によりますと、1日に1回も歯をみがかない幼児は、1日2回以上歯みがきをする幼児と比較して、慢性便秘を発症するリスクが約60%高くなる傾向があることが明らかになりました。
(※2025年4月7日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

お口の健康が腸にも影響?歯みがきと便秘の意外な関係

消化器の疾患、特に過敏性腸症候群などを抱える方には、歯周炎のような口腔トラブルが同時に見られることがあり、口腔内の細菌と腸内環境との関係性が注目されています。
口と腸は一つの消化器官としてつながっており、その相互作用について研究が進められています。
たとえば、食事の際によくかむことやガムをかむ習慣は、口腔内に刺激を与えることで腸の蠕動運動を活発にし、排便を促す効果があるとされ、医療の現場でも取り入れられています。
また、脊髄損傷のある方は便秘になりやすい傾向がありますが、歯みがきを続けたことで、重度の便秘症状が大きく軽減されたという報告もあります。
こうした事例からも、口のケアが全身の健康と密接に結びついていることが分かります。

幼児の便秘と歯みがき習慣の関係性・・・大規模調査から見えてきた傾向とは?

環境省が実施する「エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)」のデータを活用し、全国の幼児8万3,660人を対象に分析が行われました。
調査では、国際的に標準化された質問票を用い、3歳および4歳時点での便秘の有無と、2歳および4歳時点での1日あたりの歯みがき回数との関連性を検討しました。

歯みがきの頻度と便秘の関係、「習慣の差」が健康に影響

調査によると、3歳時点で便秘とみなされた子どもは1万123人、4歳時点では8,820人に上り、両年齢で便秘が認められた幼児は3,659人でした。
歯みがきを1日2回していた割合は、2歳時点で48%、4歳では76%に達しています。
この分析では、母親の年齢、喫煙や飲酒の習慣、子どもの性別や体型、既往歴、食事の頻度などの要因を統計的に除いたうえで検討が行われました。
その結果、4歳時に便秘を発症するリスクは、1日2回以上歯をみがく子どもに比べて、1回のみの子どもでは21%、1日1回未満の子どもでは87%も高くなることが分かりました。
また、3歳と4歳の両方で慢性的に便秘を抱えるリスクについても、2歳の時点で1日2回以上歯みがきしていた子どもに対し、1回だけの子どもは22%、1日1回未満では62%も高いという結果が示されています。

歯みがきの習慣は全身への健康効果が期待できる

東北福祉大学で口腔機能を専門とする土谷昌広教授は、歯みがきの意義について
「口腔内の清潔を保つだけでなく、体全体の健康を支える上でも重要な役割を果たしています」
と述べています。
さらに、「歯みがきはコストが非常に低く、自分自身で管理しやすい習慣ですので、ぜひ継続的に実践していただきたい」と呼びかけています。