
NHKのEテレで放送されている「The Wakey Show(ザウェイキーショウ)」が放送開始から1周年を迎えました。
人形と操演者が一緒に姿を見せるスタイルには、子ども向け番組の新しい工夫と、人形劇を未来へつなげたいという思いが込められています。
(※2026年3月29日の朝日新聞の記事を参考にしています)
朝の時間を楽しくするウェイキーズ
「The Wakey Show」は、DJのウェイキーをはじめとするキャラクターたちが、歌や踊り、コント、クイズなどを楽しむ20分番組です。
教育と娯楽を組み合わせた「エデュテインメント」を掲げ、子どもが楽しみながら番組に親しめる内容になっています。
2026年2月には東京・渋谷のNHKホールでライブイベントも開催され、2日間4公演のチケットが完売しました。
会場では子どもたちが好きなキャラクターのうちわや衣装を身につけて楽しんでいたそうです。
テレビだけでなく、実際の舞台でも子どもたちを惹きつけていることが分かります。
「大人が見えている」のは番組の工夫
この番組で特に目を引くのが、人形を操る大人の姿が隠されていないことです。
例えばマリーゴールが歌う「カラーパッション」では、人形を棒で操る演者の早希さんも、ステージを走りながら一緒に踊ります。
一見すると少し不思議ですが、これは意図された演出です。
人形と操演者を一体にして、喜んだりがっかりしたりする様子まで表現しています。
普段なら「人形の後ろにいる人」は見えないものですが、私はこうした見せ方も面白いと感じます。
子どもにとっては、人形だけを見るよりも、動いている人も含めて一つのキャラクターとして受け止めやすいのかもしれません。
減ってきたテレビ人形劇をどう残すか
NHKでは1953年のテレビ本放送開始から人形劇が作られ、「ひょっこりひょうたん島」「サンダーバード」「プリンプリン物語」などが子どもたちに親しまれてきました。
一方で、人形の制作費や多くの操演者を確保する難しさから、新作の人形劇は少なくなっています。
「こどもにんぎょう劇場」も2011年に放送を終了し、現在も新作を放送するシリーズは「ざわざわ森のがんこちゃん」のみです。
「がんこちゃん」でチョビを演じる山田はるかさんは、操演者を目指す若い人が少なく、育成の場も減っていることを課題として挙げています。
20年以上の経験がある山田さんでさえ「今でも現場では若手のうち」と話すという点には、担い手不足の深刻さを感じます。
若い世代が人形劇に触れるきっかけに
そこで企画されたのが、操演者を舞台裏に隠さず、人形と一緒に表へ出すスタイルでした。
ウェイキーズを演じる5人には、人形操演の経験がなかった若手の俳優や歌手たちが選ばれました。
新しい表現にすることで、エンターテインメントの世界を目指す若者が操演に興味を持つきっかけにもなることが期待されています。
番組開始前には、子どもたちが人形のそばにいる操演者を気にせず、人形に自然に話しかけていたそうです。
人形だからこそ話しかけやすいという話は、子どもとの関わりを考えるうえでも興味深いです。
私自身、子ども向け番組では「本物らしさ」よりも、子どもが安心して参加できる雰囲気のほうが大切なのではないかと思います。
CG映像が身近になった今だからこそ、人形ならではの温かさが新鮮に感じられるのかもしれません。
「The Wakey Show」は「セサミストリート」の制作側ともパートナーシップを結んでおり、今後の展開にも注目したい番組です。
