
この夏は猛暑の影響で、子どもたちが屋外で遊ぶ機会が減り、運動不足が心配されていました。
そうした状況を受けて、キリンホールディングスと日本サッカー協会(JFA)は、室内でも楽しく体を動かせる運動プログラムを共同で開発しました。
このプログラムは、屋内にいながらも全身をしっかり使って遊べることが特長です。
今後は、全国の幼稚園や保育園1,000カ所への導入を目指しているそうです。
(※2025年8月13日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
楽しみながら体を動かす!幼児向け室内運動プログラムが始動
キリンと日本サッカー協会(JFA)が共同で開発したのは、3~6歳の子どもを対象とした、約20分間の室内運動プログラムです。
4~5種類の運動メニューを組み合わせ、遊びの要素を取り入れながら体をしっかり動かせるよう工夫されています。
7月上旬には、東京都文京区の貞静幼稚園で報道向けの体験会が実施され、年長組のおよそ20人の園児が参加しました。
最初に中林楓花教諭が「ここは森の中です。きれいな空気を吸ってみましょう」と子どもたちに声をかけ、深呼吸からスタートしました。
続いて、子どもたちは動物になりきって体を動かします。
クマのように四つ足で歩いたり、ウサギのようにぴょんぴょん跳ねたりしながら、教室内を行き来しました。
次のメニューではボールを使った活動に挑戦。
中林教諭がボールを落とすタイミングに合わせてジャンプしたり、列になってボールを後ろの子へ渡すなど、全身を使った動きが盛り込まれています。
このプログラムには、子ども同士のコミュニケーションや協調性を育むねらいも込められているそうです。
毎年猛暑で外遊びに制限、子どもの運動不足に広がる不安
子どもは体温を調節する機能がまだ未熟なため、熱中症のリスクが高いとされています。
こうした事情から、多くの保育園や幼稚園では、気温や湿度などをもとに算出される「暑さ指数(WBGT)」が一定の数値を超えた場合、屋外での遊びや散歩を中止する対応をとっています。
キリンが実施した調査によると、3~6歳の子どもを持つ保護者500人のうち、93.4%が「暑さのために子どもの外遊びを控えた経験がある」と回答しました。
さらに、全体の7割以上が「体力の低下」や「運動不足」について不安を感じていると答えています。
運動不足が心身に与える影響と限られた環境での工夫
順天堂大学スポーツ医学研究室の小林弘幸教授は、「運動する機会が減ることは、体力の低下だけでなく、心の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります」と警鐘を鳴らしています。
スペースが限られた環境での運動について、日本サッカー協会(JFA)技術委員会の普及ダイレクター・中山雅雄さんは、「遊具の工夫が大切です」とアドバイスします。
たとえば、布を丸めて作ったボールは跳ねにくいため、狭い室内でも使いやすく、安全です。
座った状態でボールを投げたり蹴ったりする動きでも、手足を使った基本的な運動経験につながるといいます。
