スマホの普及とともに子どもの睡眠不足が言われるようになっていることは、社会で共有されています。
でも大人の世界も夜型かしている昨今。社会全体を変えるのは簡単ではありませんよね。
いったいどこから手を付ければいいのでしょうか。
学校の現場を良く知る養護経論は、「保健室によくくる子は睡眠不足の傾向がみられる」と語っています。
スマホで動画やゲームをしたり、部活の後に塾に通ったり、とにかく忙しい様子が分かるとのこと。どうしても睡眠時間は削られがちになってしまいます。
ある児童は、リスバンド型加速度計をつけて睡眠のログを取り、結果のデータを見ながら振り返ってもらうことで、もっと睡眠時間を確保することを意識できたそうです。
良い睡眠をとるために大切なこと8か条
最近は終業時間を遅くする学校も
米小児科学会によると、思春期は午後11時よりも前に寝ることが難しく、起床も午後8時以降が適しているそうです。
東大大学院博士課程の萩原峻太さんは議員や学校側に働きかけてきましたが、実際に遅くなったケースはないそうです。親の生活時間帯もありますし、教員の就労時間の問題もあるからです。
名古屋大学の内田良教授は、「始業時間を遅らるだけではなく、学校の外材時間が短くできれば」と話しています。子ども達は学校が終わっても、部活や塾や宿題などであまりにも忙しすぎます。例えば「朝練はやめる」「完全下校時間を早くする」などの措置が必要では、とも語っています。
日本ほど睡眠をないがしろにしている国はない!久留米大学長 内村さん
日本睡眠学会理事長で、久留米大学長の内村直尚さんは、9~18歳を対象にした調査では、ヨーロッパ諸国と比べて1~2時間も睡眠時間が短いそうです。
睡眠は成長を促すだけでなく、情緒を安定させ記憶を固定して免疫機能を高めます。記憶を司る脳の海馬という場所の体積と睡眠時間は比例するという研究結果もあるそうです。乳幼児期の睡眠不足がその後の不安や抑うつにつながるとも言われています。
子どもの睡眠を変えるには保護者や社会や学校が変わらないと難しいかもしれません。
「削るなら睡眠」というバブル期のサラリーマンのような生活は子どもには絶対に当てはめてはいけません。
2023年2月1日(日)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。