給食の本当の意義を考える


保育園でも、小学校でも基本的に給食は子どもの必要カロリーや栄養を計算して作られているため、完食することを前提として作られています。
今回はこの完食指導の問題点について記載いたします。

完食指導で嫌いなものが余計嫌いに

一昔前では、給食は必ず完食するものとして、嫌いなものでも残してはいけないと言われ、食べ終わるまで席を立つことも許されない、という指導が一般的でした。
そのため、昼休みが終わって掃除の時間になっても、ホコリが舞う部屋で泣きながら給食を食べ続けている子がいたものです。
現在でも上記ほど強制はしなくとも、基本的に給食は完食するものとしており、完食させることが教師の評価にもつながっているため、完食させることに躍起になる指導者も多いようです。

しかしながら、家庭では基本的に残してもいいスタンスで育てられている子どもが、給食だけは完食するように強要されるのであれば、給食の時間自体が苦痛になってしまいます。
そして、絶対に残してはダメだと脅されて、嫌いな物を食べなければならないことがトラウマとなり、嫌いなものが余計に嫌いになることもあるでしょう。

給食は何のためにあるのかを考える

文部科学省が定める給食の意義は以下のようにあげられています。

(1)適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
(2)日常生活における食事について正しい理解を深め、
   健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
(3)学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
(4)食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、
   生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
(5)食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての
   理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
(6)我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
(7)食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。

参照:文部科学省 学校給食の意義と学校給食従事者の役割

完食指導は、(4)の生命及び自然を尊重することに該当し、
食べ物への感謝を忘れてはいけない、という考えに基づいて指導されていると思いますが、
それを強調するあまり、給食自体が嫌になってしまっては、上記の意義は全て失われてしまうでしょう。

給食はみんなで楽しく、美味しく食べるもの

もちろん、好き嫌いで安易に食べ残しをすることは良くありません。
そのことは前提として、子どもひとりひとりが、みんなで一緒に食べる楽しさを感じながら、
美味しく給食を食べられる環境を作ることが大切です。

給食の時間自体がとても楽しい!という風になれば、自分が嫌いなものを美味しそうに食べている子をみて、自分も挑戦してみようかな、という気にもなります。
そしてその挑戦を先生や周りから褒められれば、また違うものに挑戦しよう!という前向きな気持ちの循環が生まれます。

完食指導はいわば上記と真逆のサイクルを生み出すものです。
給食のありかたについて、本来どう位置付けるべきなのか今一度見直していただければと思います。