
小学校6年生の息子を育てているある母親は、学校から支給されたタブレット端末の使用方法について悩んでいます。
-息子は親に隠れて自宅で端末を操作するようになり、それが原因で親子の間に溝ができています。
今の大人が子どもだった頃には、自由に想像力を膨らませたり、自分で遊びを工夫したりする時間がありました。
子どもたちにも、そういった自由な時間を大切にしてほしいと願っています。
上の子どもたちは、高校に進学してからパソコンを持ちましたが、問題なく使いこなせるようになりました。ですので、小学生のうちに端末を持たせる必要は感じておりません。
小学校には毎年その思いを伝えていますが、なかなか理解を得られないのが現状です。
オーストラリアのように、国が早急にこの問題に目を向けてくれることを望んでいますが、政府の対応は遅そうです。
(※2025年5月13日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
子どもと一緒に考えるデジタルとの向き合い方とは
このような悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
今やスマートフォンやタブレットが、子どもたちの最大の関心対象になっているためです。
インターネットの魅力は非常に強く、大人でも本来の作業中についスマホを触り、SNSやゲームに手が伸びてしまうことがあります。
自制しようとしても、それが難しいのが現実です。
現代の子どもたちは、情報化が進んだ社会の中で生きていくことになります。
就職活動や仕事の場でも、スマホやタブレットの活用はもはや当たり前のこととなっています。
そのため、小さいうちからオンラインでの操作や使い方に慣れていくことが求められています。
完全に使用を制限するのは、現代社会においては現実的ではありません。
SNS利用と子どもの権利をどう両立させるかが難しい・・・
オーストラリアでは、16歳未満の若者によるSNSの利用を禁じる法律がすでに導入されています。
これには賛否両論あったのは事実。とりわけ、16歳未満の若者は難色を示しました。
日本でも、今後の規制の方向性について真剣に検討する必要があるでしょう。
一方で、SNSを心のよりどころとしている子どもたちも存在します。
そのため、年齢だけで一律に制限することが本当に適切なのか、慎重な議論が必要です。
重要なのは、使用を前提とした上でルールを整備する姿勢です。
もし端末を家庭に持ち帰るのであれば、学校側が「何時までに使用を終了するか」といった使用時間のルールを設けたり、フィルタリングによってアクセス範囲を制限する仕組みを導入することが望ましいのではないでしょうか。
子どもと一緒に作ろう。スマホの使い方ルール
家庭内でも、明確なルール作りが必要です。
中学生になると反抗的な態度が目立つこともあり、親の言葉に耳を傾けにくくなる可能性があります。ですから、今のうち、小学生のうちに取り組んでおきましょう。
一方的に親が決定するのではなく、子ども自身と向き合いながら話し合いを行いましょう。
自ら合意したルールであれば、子どもはより積極的に守ろうとするはずです。対話を重ねる姿勢が大切です。
具体的なルールの内容も工夫が必要です。
たとえば「夜8時まで使用可」という決め方では、その時間までは使い放題という誤解を生む恐れがあります。
代わりに「1日XX時間まで」といった時間単位での制限が効果的です。
ルールを守れた日にはしっかりと褒め、うまくいかない場合は、改善策を一緒に考えて調整しましょう。
親子で協力しながら、無理のない形で進めていくことが理想ですね。
今こそリアルな体験の大切さを親子で共有してほしい
タブレットやスマートフォン以外の楽しみを、親子で見つけていくことはとても意義の深いことと考えます。
兵庫県立大学教授の竹内和雄さんは、ネット使用に依存気味な子どもたちを対象にしたキャンプ活動を行っています。
そこでは「1日1時間までインターネット使用可」としていますが、多くの子どもたちはデバイスには手を伸ばさず、仲間と一緒に体を動かしたり遊んだりして時間を過ごしています。
ネットにばかり熱中するのは、現実世界の楽しさに触れる機会が少ないからかもしれません。
実際に小学生や中学生と話してみると、「つい使いすぎてしまう」「よくないとは思っている」と笑いながらも悩んでいる様子がうかがえます。
このような会話の中に、子どもと一緒にネットの使い方を見直すチャンスがあるのではないでしょうか。
ぜひ親子で一緒に考え、向き合ってみてほしいです。

