まだまだ油断できない?子どもの夏風邪

新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられてから1年以上が経ちました。感染対策は個人の判断に委ねられ、生活は日常に戻りつつあります。しかし、昨年の夏にはコロナ禍で影を潜めていた感染症が子どもを中心に猛威を振るいました。これからの季節、暑さや冷房で体調を崩しやすいため、子どもの「夏かぜ」には十分な注意が必要です。
(※2024年5月25日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

柴田小児科医院 柴田院長が警告する夏かぜの症状と対策

柴田小児科医院(東京都台東区)の柴田雄介院長によりますと、一般的に夏かぜと呼ばれる病気の代表格はヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱の三つです。いずれも「急な高熱とのどの痛みが特徴」とのことです。
ヘルパンギーナはのどの入り口に水疱ができて痛み、同じ属のウイルスが原因の手足口病は手のひらや足の裏に赤いぼつぼつが広がります。咽頭結膜熱も発熱とともに目が充血し、なかなか熱が下がりません。
これらの病気には特別な治療薬がないため、症状を抑えて回復を待つしかありませんが、ヘルパンギーナや手足口病は数日、咽頭結膜熱は4~5日で熱が下がることが多いです。ただし、柴田院長は「ほかの病気が隠れていたり、合併症を起こしたりすることがあるので油断はできない」と話しています。

手足口病の合併症と看護の注意点

手足口病の原因となるウイルスは、まれに髄膜炎や心筋炎などの合併症を引き起こすことがあります。国内の発症は年に数例ほどですが、同じく高熱が出て命にかかわる日本脳炎の可能性もあります。
子どもの看護中には「機嫌をよく観察し、急に食欲がなくなったり、ぐったりしている場合はすぐに受診してください。また、脱水を防ぐために水分補給も心がけてください」と柴田院長は促しています。

秋口でも警戒、夏かぜ予防のための対策

夏かぜを防ぐにはどのような点に気をつければよいのでしょうか。これら三つの感染症の感染経路は、手を介してウイルスが口などに入る接触感染や飛沫感染です。東京都保健医療局の西塚至・感染症対策調整担当部長は、「こまめな手洗い、おもちゃの消毒、タオルの洗濯などを心がけ、症状がある場合は登園や登校を控えることが重要です。コロナ禍で続けてきた感染対策を活かし、対応力を高めてほしい」と話しています。

救急医療逼迫を防ぐための注意点

昨年の夏は、コロナの感染拡大に加えて夏かぜの流行や熱中症患者の増加もあり、救急医療が逼迫しました。西塚さんは「今年は人の移動がさらに本格化し、厳しい夏になることも予想されます。過度に恐れず、感染状況に応じて予防を心がけてほしい」と述べています。救急医療を機能させるためにも、「受診や救急車を呼ぶことに迷った際は小児救急相談(#8000)などに電話してほしい」と呼びかけています。