福岡県みやま市の小学校で、給食時にウズラの卵を誤って喉に詰まらせた1年生の男子児童が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。これを受け、市教育委員会は緊急の校長会を開催し、対策の徹底を指示、保護者向けの説明会も行われました。文部科学省は、同様の事故への注意喚起を全国に向けて発出しました。子どもの食事中の窒息事故が続いており、専門家からは引き続き注意を促す声が挙がっています。
(※2024年2月28日(水)朝日新聞朝刊の記事を参考に要約しています。)
給食中の悲劇:ウズラの卵による児童の窒息死を受けた教育委員会の緊急対応
市の教育委員会によりますと、ある児童が26日に献立に含まれていたおでんのウズラの卵を誤って喉に詰まらせ、吐きそうな様子を見せたにもかかわらず、担任教員が背中を叩いたり心臓マッサージや人工呼吸を施したりしたものの、最終的には亡くなるという事態に至りました。この事故を重く見た大分県佐伯市の教育委員会は、27日に市内の公立幼稚園及び小中学校へ、当面の間給食でウズラの卵を使用しないようにという通知を出しました。また、同県由布市や北九州市においても、この通知に倣った対応をする方針であると伝えられています。
学校給食による窒息死事故の実態と原因
日本スポーツ振興センター(JSC)が管轄する災害給付制度によると、2005年から2022年度にかけて、幼稚園、保育園、小中高校、特別支援学校で子どもが給食の食材をのどに詰まらせて窒息死する事故が11件発生しています。この事故で窒息死を引き起こした食材は、パンが3件で最も多く、ミニトマト、プラムの種、ウズラの卵が各1件と報告されています。
子どもの乳歯から永久歯への生え替わり期における給食の注意点
NPO法人「Safe Kids Japan」の理事長であり小児科医の山中龍宏氏は、子どもの乳歯が永久歯に生え替わる時期に特別な注意が必要であると指摘しています。この時期、子どもたちは小学校入学前後から乳歯が抜け落ち始め、咀嚼能力が低下しています。山中氏は、リスクの高い食材を提供しないか、小さく切ることが最善の対策だと述べています。また、誤嚥リスクは乳幼児や高齢者だけでなく、給食を担当する者や家庭でも、窒息を引き起こしやすい食材や調理方法についての認識を深めることが重要だと強調しています。
窒息のリスクを高める食品の特徴
日本小児科学会のまとめによると、窒息を起こしやすい食品には共通の特徴があります。これには、丸くて滑りやすい食品(ブドウ、ミニトマト、サクランボ、ウズラの卵、ソーセージ、こんにゃく、白玉団子など)、粘着性が高く唾液を吸収して飲み込みにくい食品(餅、ご飯やパン類)、そして硬くてかみ切りにくい食品(リンゴ、生のニンジン、水菜、イカなど)が含まれます。これらの食品は特に注意が必要であり、窒息事故の予防に役立つ重要な情報となります。